潜入捜査官アンニカ～北欧美術の陰謀～

フィンランド国家警察局の美術犯罪専門の捜査官であるエンマは、研修の修了試験として、“アンニカ･ストルマレ”の名で初めて潜入捜査をする。スウェーデンにあるオークション会社、ストールグレン社が主催するオークションで、出品作品の真贋 (しんがん) を見極める任務だ。オークションでは非公開の絵画を謎めいたフランス人女性が高額で落札。贋作の捜査ではないと察したエンマは仲間を問い詰め、真の目的を知らされる。

エンマは北欧絵画の専門家としてストールグレン社に雇われることに。潜入捜査を前に帰国したエンマは上司に、絵画を落札したフランス人女性は、カルパンティエ･ネットワークという犯罪組織に雇われて潜入捜査官を殺害した過去があることを告げられる。そしてエンマはストールグレン社がオークションを利用して行っていると疑われる大規模犯罪の証拠を探すなかで、フランス人女性、ベアトリスとストールグレン社の接点を見つける。

“カッコウの巣”が、カルパンティエ･ネットワークの犯罪行為に関わる合言葉だと知ったエンマは、再びベアトリスと接触。ヒルマ･アフ･クリントの絵画の売却を持ちかけられ、彼女の指示に従って国立美術館から絵を持ち出す。母国に戻り確認するとその絵は贋作 (がんさく) だった。偽の鑑定書を用意してスウェーデンに戻ったエンマは、お金の流れを追跡するためストールグレンのパソコンにトラッカーを仕込もうと彼の家を訪ねる。

エンマの部屋で仲間が殺され、チームはベアトリスかストールグレンの犯行を疑う。エンマは滞在先を変えて潜入を続け、カルパンティエ･ネットワークに近づく条件として、ヒルマ･アフ･クリントの絵画を落札させることをベアトリスに提示される。そして、資金洗浄の証拠をつかむため、ストールグレン社の“フロント役”とされるトシュテンソンに絵の購入を打診。しかしベアトリスが関わっていることを察した彼はこれを拒否する。

フィンランドに暮らす父の家を訪れたエンマ。話の通じない父に苦労しているところへ、なぜか彼女の居場所を突き止めたストールグレンが現れる。エンマはアンニカを装ったまま父とストールグレンと共に夕食をとるが、父が“アンニカ”の正体について口を滑らせてしまい肝を冷やす。その後スウェーデンに戻ったエンマは、絵画の買い手がついたことを報告するためベアトリスと再び接触し、一緒にある人物に会いに行く。

フランスでの出来事に動揺するエンマは、オークションで被疑者全員を逮捕しすべて終わらせることを捜査仲間に宣言する。ストールグレン社に出社したエンマがカルパンティエと会ったことをストールグレンに告げると、彼はエンマをなじるが、予定どおりオークションを開催することを承諾する。そして迎えた当日。捜査チームが待機するなか、えさである絵画の入札が始まるが、エンマにかかってきたある電話で状況が一変する。