SS-GB ナチスが戦争に勝利した世界

1941年のロンドン。ブリテンの戦いでドイツに敗北したイギリスは、ナチス･ドイツの占領下に置かれていた。英国王ジョージ6世は幽閉され、ナチスの鉤十字で埋め尽くされたロンドンでは反ドイツ抵抗運動 (レジスタンス) が活発化していた。ロンドン警視庁のダグラス･アーチャー警視と相棒のハリー･ウッズは闇取引をめぐる殺人事件の捜査に当たっていたが、ベルリンからナチス親衛隊の将校フートがやってきて、捜査は意外な展開を見せ始める。

愛人だったシルヴィアから犯人の情報を得たアーチャーは、密かに部下のジミーにその捜査をさせる。そして、容疑者のジョン･スポードが、実は被害者ウィリアムの兄弟で、科学者であることを突き止める。アーチャーは、ジョンが息子の通う学校の音楽教員であることを知り、彼らがいる教会へ向かうが、そこに突然フートが現れる。一方、被害者と何やら関係があるアメリカの女性ジャーナリスト、バーバラ･バーガにアーチャーは接近していく…。

元英国情報部のメーヒュー大佐による、ジョージ6世救出計画をしることとなったアーチャー。一方、親衛隊はウィリアム･スポードが国防軍による原子爆弾計画に深く関わっていたことを知る。反ヒトラー派による国防軍の原子爆弾が完成すれば、親衛隊の立場が危うくなってしまうため、フート大佐が捜査にやってきたのだ。同じ頃、ロンドンで眠るマルクスの遺体を、故郷のモスクワへ還す友好式典がロンドンで行われることになる。

軍の最高指揮権を奪い返すため、ドイツ国防軍は敵であるメーヒューに協力してジョージ6世の脱出作戦を練っていた。そして、アーチャーもまた、この計画の一部として飲み込まれていくのだった。一方、アーチャーは今回の殺人事件について何かを隠しているバーバラに疑いを抱きながらも彼女に惹かれるようになる。マルクスをモスクワに戻す式典の日がきた。この日のため、ソ連やドイツから多くの要人が参列することになるが、そこで大事件が起こってしまう…。

式典の爆発事件後、大規模な暴動が発生するのを恐れたドイツ軍は戒厳令を敷き、一斉検挙に乗り出す。逮捕者の中にはハリー･ウッズも含まれていた。アーチャーは、ケラーマン中将へ懇願し、ハリーを取り戻そうとする。ケラーマン中将もまた、フート大佐の情報を得ようとアーチャーを利用する。一方、国王の脱出計画は密かに進行し、アーチャーが国王の奪還をすることになるが、そんな中、親衛隊に計画が漏れてしまったのか、仲間のステーンズが何者かに殺されてしまう…。

ハリー、シルヴィアと共に国王を救出したアーチャーたちは、ロンドンを脱出し指定された場所へと向かう。しかし、途中、ある村でドイツ軍に協力する村人の家で立ち往生してしまう。一方、フート大佐とアーチャーたちによる大きな計画が動いていることに気付いたケラーマン中将は、バーバラ･バーガを拘束して拷問にかけようとする。やがて、国王と共にレジスタンスと合流したアーチャーの前にフート大佐が現れる。いま、国の名誉をかけた男たちの戦いが始まる…。